義歯診療科紹介

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〜咀嚼・嚥下機能障害の診断・治療・リハビリテーション〜

 義歯診療科では、有床義歯のほか、クラウン・ブリッジを含む、補綴治療全般を基盤として、さらに重度の顎口腔系の形態・機能障害に対する補綴装置を用いたリハビリテーションを行っています。また、さまざまな診断機器を用いて咀嚼機能、嚥下機能、頭蓋下顎機能を評価し、病態を客観的に把握することによって、より効率的な治療とリハビリテーションを目指します。

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1.補綴装置による咀嚼・嚥下機能回復のメカニズム

 左の図のように、有床義歯治療の直接的な効果である形態の回復によって、咀嚼機能が改善し、食物を美味しく味わいながら食塊にする作業(Food oral processing)が円滑に進んで、結果的に飲み込みやすい食塊が作られることにより、安全に嚥下することができます。

2.さまざまな補綴装置によるリハビリテーション

 義歯診療科では、クラウン・ブリッジ、有床義歯(全部床義歯、部分床義歯)などによる通常の補綴治療のほか、頭頸部がん術後の顎顔面欠損、脳卒中や神経疾患による咀嚼・嚥下・構音障害に対するリハビリテーションのための補綴装置を製作しています。ここでは、主な補綴装置を紹介します。

全部床義歯

BPS 義歯

BPS(Biofunctional Prosthetic System:生体機能的補綴システム)は、イボクラービバデント社と、ヨーロッパの歯科大学、臨床医が共同で開発した義歯製作のシステムで、品質にこだわる患者様にも満足いただける義歯を製作することができます。





部分床義歯

快適性を重視した金属床義歯症例

インプラントオーバーデンチャー

ボールアタッチメントを使用した症例

舌接触補助床(PAP)

舌部分切除患者は舌の実質欠損と運動障害により、咀嚼・嚥下・構音に障害を生じます。これを改善するために上顎に装着する装置が舌接触補助床(PAP)で、写真のような口蓋床型と、義歯型があります。

軟口蓋挙上装置(PLP)

軟口蓋の実質欠損やまひにより嚥下障害や構音障害を生じた場合、これを改善するために上顎に装着するのが軟口蓋挙上装置(PLP)です。口腔中咽頭がん術後だけでなく、脳卒中や神経疾患にも適用されます。

顎義歯

口腔がん術後の上顎無歯顎半側欠損に対する顎義歯

早期顎義歯

上顎部分切除予定症例に対する早期顎義歯の製作方法
本法により、手術前の歯列・歯槽部を再現した義歯を装着し、上顎切除患者の機能とQOLの回復がより早期から可能となりました。
@術前印象による作業模型、A維持装置の製作、Bろう義歯の製作、Cシリコーン・コアーの採得と即時重合レジンによる歯列の製作、D切除予定部位のモデルサージェリー、E注入型レジンによる重合

手術後に早期顎義歯を装着したところ。透明プレートと手術創の間には、創面の治癒過程で栓塞子が追補されます。

3.客観的な診断を行うための機能検査(咬み合わせ機能検査外来)

 義歯診療科では、咀嚼・嚥下機能の問題を客観的に把握するために、先端医療機器を用いた機能検査を行い、その結果を治療に活かすとともに、より精密な診断・治療システムを開発するための臨床研究を行っています。ここでは、主な検査方法と機器を紹介します。

顎運動検査

顎運動測定装置

6自由度顎運動測定装置
トライメット(JKN-1)

CCDカメラで顔弓のLEDマーカーを読み込んで上下顎運動を測定します。写真は咀嚼筋筋電図同時測定している様子です。

下顎切歯点運動測定装置
モーションビジトレーナー V-1

カメラで、下顎切歯点に取り付けた光源を読み込んで、下顎切歯点の3次元的な動きを解析する装置です。保険診療の有床義歯咀嚼機能検査に対応しています。

6自由度顎運動測定装置
WinJaw system

超音波を利用して非接触で下顎顎運動を測定します。咀嚼筋筋電図同時測定が可能です。

咬合力検査

咬合力測定装置

デンタルプレスケール(咬合力測定シート)
薄いシートを咬合することにより発色し専用装置でスキャンして咬合力の分布を分析します。

専用分析装置

咬合力分析結果

咬合検査

咬合接触分析装置

咬合印象材
ブルーシリコーンを咬合して頂き専用装置BiteEyeでスキャンして咬合接触点と咬合接触面積を分析します。

専用分析装置

咬合接触分析結果

舌圧検査

嚥下時舌圧測定システム(スワロースキャン)
 極薄型センサシートを直接口蓋に貼って機能時の舌の接触圧を多点で測定し、正常パターンと異常パターンを判別します。詳しくは研究活動のページをご覧ください。

JMS舌圧計

写真左のプローブをくわえて舌の筋力を測定する検査です。

咀嚼能力検査

 規格化されたグミゼリーを用いた簡便で正確な咀嚼能力検査を行っています。全自動法、手動法、スコア法の3種類があり、どの方法で行っても結果には互換性があります。詳しくは研究活動のページをご覧ください。